国内初、LNG燃料タグボート「いしん」がカーボンニュートラルLNGを使用
株式会社商船三井(代表取締役社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「商船三井」)のグループ会社である当社(代表取締役社長:西尾哲郎、本社:神戸市中央区)が運航するLNG燃料タグボート「いしん」(註1)は、大阪ガス株式会社(代表取締役社長:藤原正隆、本社:大阪市中央区、以下「大阪ガス」)とDaigasエナジー株式会社(代表取締役社長:井上雅之、本社:大阪市中央区、以下「Daigasエナジー」)より、2021年9月1日に国内で初めて舶用燃料としてカーボンニュートラルLNG(以下「CNLNG」)の供給を受けました。
今回供給を受けたCNLNGは、大阪府堺泉北港においてTruck to Ship方式(註2)で供給されました。天然ガスの採掘・液化・輸送・製造・燃焼の工程を含むライフサイクル全体で発生する温室効果ガス(GHG)をクレジット(註3)で相殺したLNGであり、CNLNGは今後船舶でも広く利用されることが期待されています(註4)。
「いしん」は、2019年2月に竣工したLNGを燃料とするタグボートで、商船三井が保有し、当社が運航しています。就航当初(註5)よりDaigasエナジーより燃料となるLNGの供給を受けており、この度、Daigasエナジーと当社の間で、数年間にわたるCNLNGの供給に関する覚書を締結しました。
近年、船舶からの排出ガスに対する規制を強化する動きは加速しており、国際海事機関(IMO)が2018年4月に策定した船舶からのGHG排出削減戦略では、2008年の排出量を基準とし、2050年までに総排出量を50%以上削減し、また、今世紀中の可能な限り早期に総排出量をゼロにすることを目標としています。
商船三井グループは、2021年6月に発表した「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」において、2050年までにネットゼロ・エミッションを達成することを目標としています。その実現に向け「クリーン代替燃料の導入」戦略(図1参照)を掲げ、LNG燃料船に関しては2030年までに約90隻を導入する予定です。「いしん」は商船三井が保有する初めてのLNG燃料船であり、今後もGHG排出削減に向けた新しい取り組みを積極的に推進します。
(図1)
<LNG燃料タグボート「いしん」へのCNLNG供給の様子>
<「いしん」の概要>
総トン数 247㌧
全長 43.6m
全幅 9.20m
喫水 3.15m
航海速力 16.4ノット以上
主機関 ヤンマー 船舶用Dual Fuelエンジン「6EY26DF」2基
(註1)「いしん」は、国土交通省が認証する「内航船省エネルギー格付け制度」において、A重油使用時と比較して二酸化炭素(CO2)排出量を約25%削減するなどの優れた環境性能が評価され、最高ランクの星5つの格付けを得ました。
(註2)Truck to Ship方式とは岸壁のLNGローリーから船へLNG燃料を供給する方式。
(註3)カーボン・オフセットで用いられるクレジットとは、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の良い機器の導入、もしくは植林や間伐等の森林管理により実現できたGHG削減・吸収量を、特定の方法に従って数値化し取引可能な形態にしたものを指します。
(註4)船舶燃料としてCNLNGを使用した場合のGHG排出量の取り扱いについては、今後、IMO等でのルールの策定が必要となります。
(註5)当初は株式会社OGCTSが供給。2020年4月1日にDaigasエナジーが同社を吸収合併し事業承継。