しおさい99号
2022年新年のご挨拶
新年明けましておめでとう御座います。
まずは当社海陸役職員各位の安全運航・安全作業の励行継続により、健全に社業を全う出来たことに深く感謝しますと共に、各位が健やかに新年を迎えられたことを大変嬉しく思います。
さて、2021年前半に於いては、新型コロナ感染症の蔓延による緊急事態宣言下での在宅勤務体制が幾度となく繰り返されるなどの非正常な状況が続きました。
しかし後半になり経済全般の回復が見られる中で、前年からの低迷脱却に注力した結果、当社の業績についても各位の奮闘により徐々に回復に向かった1年であったと認識しています。
更に昨年は、COP26(国連気候変動枠組み条約 第26回締結国会議)の開催もあり、脱炭素化・GHG(排出温暖化ガス)削減等の環境対応についての世論が急速に高まりを見せました。
外航海運業界に於いてはIMOが2018年に国際海運のGHG削減目標を定めたことを皮切りに、当社の親会社である商船三井も他の邦船社に先駆けて2021年6月に環境ビジョン2.1として環境目標・ロードマップ等を発表し、2050年のネットゼロ・エミッション達成に向けてスタートを切り出しました。
一方、我々が属する内航事業者に目を向けると、目標とする2050年までの時間軸が長く、費用対効果・技術革新・インフラ整備も途上段階であり、また国の政策方針も明確に浸透していないこと等により切迫感が希薄な状況と見受けられます。
少なくとも気候変動に悪影響を及ぼしているとされるCO2の自社排出量は認識しておくべきものであろうと思っています。
因みに、2020年度に於ける当社単体でのCO2排出量は約14,000トンと集計されていることを皆さんも認識しておいて下さい。
社会構造・環境が大きく変容し企業のサステナビリティ対応に関する社会の要請が高まりつつある中で、当社としてはカーボンニュートラルLNGの使用開始、次世代タグの検討、カーボンニュートラルポート(CNP)検討会への参加、SDGsの一環としての海洋保全活動の開始、更には新たな事業として地域を限定した上での洋上風力発電プロジェクトへの参画等、様々な案件に取組み出しました。
慌てることなく選ばれし事業者となるべく、今後も地道に着実な歩みを続け将来に向けてのカーボンニュートラル、ゼロ・エミッションへの対策・対応を進めて行く覚悟です。
新たに幕を開けた2022年、更にその先は脱炭素化に向けてエネルギー事業を取り巻く環境は大きな転換期を迎え、国内企業に於いては事業の併合・閉鎖・撤退などが検討され、将来に向けて当社の現業へも深刻な影響が懸念される一方で、今後クリーンエネルギーとして水素・アンモニア等が台頭し、新たな作業が見出せるとも感じています。
当社としては今後も海陸間・部門間でのコミュニケーションの更なる活性化、連帯感、あらゆる可能性を追求した営業活動、そして安全・迅速・正確、且つ質の高い作業を。
一人一人が情熱を今一度呼び覚まし、意識高く、法令遵守の徹底のもとで社業発展の為に、共に挑んで行きましょう。
最後になりますが、当社グループ海陸全役職員とご家族のご多幸ご健勝、当社グループ全船の安全運航・安全作業、一日も早いコロナ禍の収束、そして今秋には一つの節目である日本栄船創立55周年を皆さんと笑顔で迎えられることを祈念して新年の挨拶とします。
代表取締役社長 西尾 哲郎
国内初、LNG燃料タグボート「いしん」がカーボンニュートラルLNGを使用
LNG燃料タグボート「いしん」(註1)は、大阪ガス株式会社(代表取締役社長:藤原正隆、本社:大阪市中央区、以下「大阪ガス」)とDaigasエナジー株式会社(代表取締役社長:井上雅之、本社:大阪市中央区、以下「Daigasエナジー」)より、2021年9月1日に国内で初めて舶用燃料としてカーボンニュートラルLNG(以下「CNLNG」)の供給を受けました。
今回供給を受けたCNLNGは、大阪府堺泉北港においてTruck to Ship方式(註2)で供給されました。天然ガスの採掘・液化・輸送・製造・燃焼の工程を含むライフサイクル全体で発生する温室効果ガス(GHG)をクレジット(註3)で相殺したLNGであり、CNLNGは今後船舶でも広く利用されることが期待されています(註4)。「いしん」は、2019年2月に竣工したLNGを燃料とするタグボートで、商船三井が保有し、当社が運航しています。就航当初(註5)よりDaigasエナジーより燃料となるLNGの供給を受けており、この度、Daigasエナジーと当社の間で、数年間にわたるCNLNGの供給に関する覚書を締結しました。
近年、船舶からの排出ガスに対する規制を強化する動きは加速しており、国際海事機関(IMO)が2018年4月に策定した船舶からのGHG排出削減戦略では、2008年の排出量を基準とし、2050年までに総排出量を50%以上削減し、また、今世紀中の可能な限り早期に総排出量をゼロにすることを目標としています。
商船三井グループは、2021年6月に発表した「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」において、2050年までにネットゼロ・エミッションを達成することを目標としています。その実現に向け「クリーン代替燃料の導入」戦略(図1参照)を掲げ、LNG燃料船に関しては2030年までに約90隻を導入する予定です。「いしん」は商船三井が保有する初めてのLNG燃料船であり、今後もGHG排出削減に向けた新しい取り組みを積極的に推進します。
<LNG燃料タグボート「いしん」へのCNLNG供給の様子>
(註1)「いしん」は、国土交通省が認証する「内航船省エネルギー格付け制度」において、A重油使用時と比較して二酸化炭素(CO2)排出量を約25%削減するなどの優れた環境性能が評価され、最高ランクの星5つの格付けを得ました。
(註2)Truck to Ship方式とは岸壁のLNGローリーから船へLNG燃料を供給する方式。
(註3)カーボン・オフセットで用いられるクレジットとは、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の良い機器の導入、もしくは植林や間伐等の森林管理により実現できたGHG削減・吸収量を、特定の方法に従って数値化し取引可能な形態にしたものを指します。
(註4)船舶燃料としてCNLNGを使用した場合のGHG排出量の取り扱いについては、今後、IMO等でのルールの策定が必要となります。
(註5)当初は株式会社OGCTSが供給。2020年4月1日にDaigasエナジーが同社を吸収合併し事業承継。
10回目の海洋保全活動を神戸港、坂出市/沙弥島海水浴場にて同時実施
実施日 :10月9日(土)08:30~ 神戸本社、 06:00~ 坂出支店
実施場所:神戸港(神戸タグ基地 海上・基地周辺)9名参加、 坂出市(沙弥島海水浴場)5名参加
実施内容:マイクロプラスチックの元となる、ペットボトル・食品包装など回収
坂出市・沙弥島海水浴場:15Kg(ペットボトル・空き缶等含む、その他カラーコーン、漁具ブイ〈発砲スチロール〉)
回収した海洋ゴミは、各行政機関の指針に従って適切に処理致しております。
累計239Kg(ペットボトル、プラスティック容器、その他海洋ゴミ)回収済み。
引続き、当社はSDGsの取り組みの一環として、
“14.海の豊かさを守ろう あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する”を目標に掲げ、
豊かな海、キレイな海を目指し海洋ごみの回収、汚染防止に取り組んで参ります。
神戸港海洋ゴミ回収中 神戸港ゴミ回収選別
回収前の坂出沙弥島海水浴場 坂出港ゴミ回収選別
「きよす」竣工
令和3年8月18日、金川造船㈱にて「きよす」が竣工しました。
「きよす」は、AIS受信機 バーシングサポーター(離着桟支援装置)をはじめとする最新鋭の航海・通信機器等を装備し伊勢湾及び三河湾を稼働範囲に就航いたす事になりました。
総トン数:198トン
主機:ニイガタ6L28HX
推進装置:ニイガタZP-31 3500PS、第3,4種消防設備船
金川造船㈱苅藻工場にて引渡式が行われました。
この船の建造は昨年に引き続き新型コロナの影響で、進水式も簡略に執り行われるなど寂しい状況で建造が進行していきましたので、せめて出航だけでも本社の皆で安全祈願の見送りとしたいとの思いで、小雨の降る中晴れの船出を別れのテープとともに華やかにお見送りしました。