しおさい94号
平成30年度(第52回)定時株主総会開催される
6月20日(木)ANAクラウンプラザホテル神戸において、当社第52回定時株主総会並びに取締役会が開催され、下記の通り新役員が選任されそれぞれ就任しました。
【令和元年度役員】
代表取締役社長 西尾 哲郎
専務取締役 中嶋 誠博
(社長補佐)
常務取締役 鐘ヶ江 啓吾
(企画管理部長委嘱)
取締役 太田 正紀
(船舶部長委嘱)
取締役 本間 珠城
(営業部長兼坂出支店長委嘱)
取締役(非常勤) 齊藤 宏之
取締役(非常勤) 向井 恒道
取締役(非常勤) 安齋 僚
監査役 川﨑 慎二
社長挨拶
本年6月20日開催の第52回定時株主総会も無事に終え、当社も新たなスタートを切ることとなりました。
茲に皆さんに、一言ご挨拶申し上げます。
まずは当社を取巻くあらゆる環境が目まぐるしく変化した2018年度に於いても、海陸役職員各位の弛まぬ努力と奮闘に心から感謝致します。
2018年度を振返れば、米中の貿易闘争を主とした世界経済の混乱、中東・北朝鮮を中心とする地政学的リスク、また国内では地震・台風・豪雨等の自然災害が多発する中で、国内景気は製造業・非製造業共に緩やかな成長を続けました。
我々の事業に密接に係わる海上荷動きも量的には堅調に推移したものの、本船の大型化・各企業の寡占化等による入出港隻数の減少、加えて燃料費の高止まり等が我々に重く伸し掛かった1年でした。
然しながら、斯様な環境下に於いても全社一丸となった効率化、営業活動の強化、また緊急時を含む日々の対応・取組みにより、売上高は過去最高額を記録した昨年度を更に更新することが出来、経常利益段階に於いても一定の成果は残せたと認識しています。
更に、国内初としてIGFコードに準拠し建造され、また国土交通省が承認する「内航船省エネルギー格付け制度」に於いて最高ランクの4つ星を獲得したLNG燃料タグ「いしん」が本年2月27日に竣工し、当社が運航・船舶管理を開始しました。
本日(6月20日現在)までに7回のLNGバンカリングを無事に行い、思いのほか順調な作業・航行を続けています。
これも本船乗組員は言うまでも無く、海陸役職員全員の不断の努力の賜物であると確信しています。
今後、安全を第一義に実作業での成果を示してゆくことは勿論の事、環境負荷低減を目指す当社としてあらゆるPR活動をも検討し度いと考えています。
既に幕を開けている令和元年度についても、昨年度と同様に米国を中心とした保護主義の広がり、地政学的リスクの更なる高まり・Sox規制対応に伴う燃料価格の変動、再生可能エネルギー増大によるLNGを主とする発電用燃料の輸入量減少等々、引き続き様々な厳しい事業環境が我々を待ち受けています。
が、如何なる状況下に於いても冷静な判断と革新的な行動、即ち現事業の重要性を強く認識し行動する一方で、従来の常識だけに捉われない発想をもって新たな事業展開を具体的に検討し、より良く次の世代に向けて日栄グループを成長させてゆく所存です。
それを成し遂げる為にも、確固たる骨太な土台作りが必要不可欠であると考えています。
皆さんも日本栄船としての誇りと信念を持って、現状に満足する事無く自らの想像力・企画力を高め、仲間との建設的な対話の中で自己研鑽を積んで下さい。
期待される、期待出来る会社を目指して。
最後になりましたが、今後も安全運航・法令遵守の徹底は言うまでも無く、社業の更なる発展を目指して歩を進めて行くことを誓い、私の挨拶とさせて頂きます。
「いしん」引渡式
2019年2月27日、冷たい風が吹く中、神戸港中突堤にて「いしん」の竣工引渡式が取り行われました。
「いしん」は㈱商船三井が発注し、金川造船㈱にて建造を進めてまいりました大阪湾、および西日本で初めてのLNG燃料タグボートとなり、ヤンマー㈱製の最新船舶用DualFuelエンジン「6EY26DF」2基を搭載し国内で初めてIGFコードに準拠して建造されLNG燃料船としての安全性を担保しております。
また本船は国土交通省が認証する「内航船省エネルギー格付け制度」においてA重油使用時と比較して二酸化炭素排出量を25%削減するなどの優れた環境性能が評価され最高ランクの星4つに格付けられました。高速航行と優れた環境性能を両立した本船は堺泉北港を基地として常用16ノット以上をもって大阪湾・瀬戸内海を稼働範囲として当社が運航しております。
いしん竣工にあたって
2014年1月、LNG燃料船建造の社内方針が決定され、いよいよ建造に向け具体的に着手することとなりました。
技術的問題は、ガス関係の機器をルール通りに配置出来るかと言うこともさることながら、高速曳船「かさぎ丸」の代替船として同様の最高速力16ノット超ができるか、また十分な安定性が確保できるかでした。
当初、高速曳船「とらいとん」と同様に全長42mを予定しましたが、造船所等との打ち合わせで、バルバスバウを装備せず、船幅を9.2mと同船と比べ20cm大きくして、16ノットは保証できないと指摘されました。操船性能の低下が懸念されましたが、止むを得ず過去最長であった「あしや丸」の全長43mを上回る、43.6mとしました。ハーバー型タグの33.3mを10m以上上回る長さとなり、最早タグとは言えないのではないかとも思ったくらいでした。その後、水槽試験を行い、海上運転では、ディーゼル・ガスモードともに、16ノット超を達成できた時はほっとしました。
「いしん」の無事な竣工と稼働が実現できたことに、同船乗組員はじめ無理を聞いて下さった関係者の皆様に感謝するばかりです。
ゆく船「かさぎ丸」
1995年5月竣工から堺泉北港を基地として主にLNG船のエスコートで長年活躍していたかさぎ丸が、2019年4月、タイ向け海外売船されました。